2019年8月1日、トランプ大統領は、米中貿易交渉に進展がなく、約束した農産品の大量購入も実行しない中国に業を煮やし、9月1日から、これまで関税対象となっていなかった3,000億ドル相当の輸入品に関してて10%の関税を課す決断をした。
今回の関税対象はこれまでのものとは性質が異なり、消費財が占める割合が4割となっている。これまでは主に中間品である素材や原料に対する関税であったため、企業は製品価格に関税分をそれほど価格転嫁していなかった。
今回の関税の1,200億ドル分(40%)は、最終製品により近い消費財へかけられるものであり、企業努力では、関税分の吸収は不可能であるため消費者に価格転嫁せざる負えず、米国の消費低迷リスクとなる。
世界の株式市場は、これを嫌気して先週末にかけて軟調な展開となり、2019年8月5日のダウ株価は767.27$値下がりし、今年最大の値下がり幅となった。
Dow Jones 終値 25,717.74$(2019年8月5日)
Dow Jones 終値 26,007.07$(2019年8月7日)106.12 $/円
米国による、対中制裁関税発動の推移
◇制裁第1弾(2018年7月):中国からの輸入340億ドルに25%の制裁関税
◇制裁第2弾(2018年8月):同160億ドルに25%の制裁関税
◇制裁第3弾(2018年9月):同2,000億ドルに10%の制裁関税
◇制裁第3弾の税率引き上げ(2019年5月):2,000億ドルへの関税を10%から25%に引き上げ
◇制裁第4弾(2019年8月):中国からの輸入品3,000億ドルに9月1日から10%の関税をかけると公表
こうみると今回の制裁第4弾にプラスして、中国からの輸入品3,000億ドルへの関税10%から25%に引き上げる追加制裁もあるかもしれません。
中国の反応
今回発表されたトランプ米大統領の関税計画に対し、中国側は貿易戦争を激化させる行動で反撃した。それは、
①国有企業に対し米国産の農産物輸入を停止
②1ドル=7元を超える人民元安を容認
こうした展開により、大統領はかねて米国産農産物の輸入を増やす約束を守っていないことでも中国を批判しているのに加えて、
2019年8月5日米国は、中国をついに為替操作国に認定した。
泥沼です。
DOW J指数チャート
USドル/円チャート
日足/6カ月
(出典:SBI証券)
ドル/円は、2019年8月6日AM7:10現在1$105.62円で、円高進行中。
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月
日足/6カ月
(出典:SBI証券)
債券に資金が集まっていて、債券利回りは低下している。これは投資家がリスクオフに走っていることを明示しています。
株価下落で、個人投資家が取るべき投資戦略は?
僕が、考える個人投資家がとるべき投資戦略は、株式からの資金の一時退避です。
DOWには、24,750円の抵抗線があり、テクニカル的には、今回の下げがこれを突き抜けるか、反転するかをまずは注視する必要があります。
このまま、貿易問題により米中貿易戦争が激化すれば、世界的同時株安が速度を速め、これによりFRBの追加利下げが早まる可能性がります。
一時的には、利下げが株価下落にストップをかける可能性もあります。
大波としは、資金は退避されているのが流れですから債券ETFのBNDや、ゴールドGLDに資金を逃がしてもいいかもしれません。
【BND】バンガード・トータル・ボンドETF
日足/1年
(出典:SBI証券)
債券ETFのBNDの価格は、2018年中旬より上昇しています。
8月5日昨日の今年一番の暴落時もGLDの価格は上昇しています。
【GLD】SPDR ゴールド・シェア
日足/1年
(出典:SBI証券)
GLDの価格は、5月後半から上昇しています。このころから資金がゴールドに流れてきています。
8月5日昨日の今年一番の暴落時もGLDの価格は上昇しています。
株式資金を一時的に逃避させるための参考にして下さい。
僕はBNDに120万円ほどの資金を振り分け済みです。
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